「所変われば、音変わる」

  • 2013.10.13 Sunday
  • 22:37
JUGEMテーマ:PARIS

今回、パリでついた先生は、Alexis Galperine氏。
キーワードはパリ高等音楽院、ジュリアード、イヴァン・ガラミアン、ヘンリク・シェリング。
探すといろいろ演奏の録音も出てくる。
一見怖そうな顔をしているが、飄々としたキャラクターを演じていた。
若いときはいい男だったと想像される顔だ。
年を経てしだいに好々爺に変わりつつある感じか。
特に(はるばるやってきた唯一の日本人である)自分に妙に気を使ってくれた。

セミナーは「インターナシオナル」となっているが、いざ行ってみたら(特にヴァイオリンの)生徒は全員フランス人。受付もフランス人。これに関してはこちらに住んでいる方を事前に紹介してもらっていたのでなんとかなった。
フランス人の生徒はレッスン中もよく(自分のことを)しゃべる。それから、氏が話始めているのに弾き続ける、または話し終わらないうちに弾き始める。まあ若いからなあ。
おい、自分の弁解はいいからちゃんと話を聞けよ!と思わず突っ込みたくなった。

ギャルペリーヌ氏は、レッスンに自分の楽器を持ってきて、弾いてくれる人。一生懸命弾いて見せてくれるタイプの人だった。よい人だ。
それよりも氏の弾き方をひと目みて、こりゃ参ったなと思った。

弓の持ち方と、肘の位置がだいぶ違う。具体的には弓は小指が離れていて、肘が少し高く弓をブラブラと吊っている弾き方。
強いて言えば自分が学生のころのスタイルか。見た目からではなく昔のヴァイオリンの大家の音を真似しようとしていた結果の身体の使い方に似ていた。
実際、ガラミアンの弾き方について言及していたし、彼の若いときアメリカ、ヨーロッパで活動していた晩年の大家たちの影響は当然あるだろう。シェリング然り、ミルシュテイン然り。

今の自分のスタイルは、基本的に小指まで弓を持ち(離すときもある)、肘は弓の高さに合わせる。
今のところ自分にとってはこれが音のコントロールが一番安定し、何より全く疲れない方法だった。

これらのことで何か言われるかと思ったが、テクニックのことは特に問題とされず、ほとんど音楽作りのことだけで時間を使った。唯一言われたことは、肩当てをしない自分の演奏を見て、「ああ、その弾き方自分は大好きなんだよ。」と言って自分の楽器の裏側を見せてくれた。
金属や木製の肩当ではなく、ゴムか何かで留められたボロボロになった小さいあて布を見て、なんだか自分が 小さいころ楽器につけられた母親の手製の縦横5cm弱の肩当クッションを思い出した。

今回ショーソン、サンサーンス、イザイ、ピエルネ(更にウィーンのためにバッハ、モーツァルト、ウィニアウスキー)の作品を用意したが、そのうちショーソンの詩曲とピエルネのソナタを材料に、フランス音楽の「伝統的な」弓使いとフィンガリングの方法と、そこからどういった音楽が出来るか、といった視点で時間を使っていただいた。

地味な作業だが、結果自分には極めて有意義な時間であった。ヴィルトーゾとしての「新しい」「伝統的な」弾き方が加わると同時に、譜面から見えるラインの見え方がまた変わり、弾き方も楽になる。変わっていく自分の演奏のを見て「水を得た魚のようだね」と氏に言われた。音楽作りをしていくうちに彼の表情もどんどん豊かに若々しく変わっていくのが見える。彼にとっても良い時間だったのだろうか。
彼が言うには彼の祖父がオルガニストであり、ショーソンと親しかったという。よくショーソンのことは話しに聞いていたので、人となりや考え方が分かるのだという。
また、多くは書けないが、これらのフランス音楽の流れの基礎にあるのは「グレゴリオ聖歌の再発見」だという。今回一番印象に残った言葉の一つであり、今後自分にとって、テーマになるような予感がする。

彼の伝え方もすばらしい。断定や自分の好き嫌いという言い方ではなく、すべて「たぶんこうなんじゃないかな?」というスタンス。彼の口癖は「これはムッシューギャルペリーヌが特別に考え出したことではなく、偉大なヴァイオリニストたちが伝統としてやってきたことなんだ」と。

振り返って思うことや、改めて持った別の視点があるが、それはまた別の機会に書こうと思う。

IMG_7143.JPG
終始にこやかな表情だったが、写真を撮るときは何故かこんな神妙な顔に。

galper10.jpg
若いときの写真を見つけた。予想どおりの表情(笑。
ちなみに彼はソルボンヌ大学で哲学の学位もとっているらしいが、
これは同大学でやはり哲学と美学を修めている師のヘンリク・シェリングの影響だろうか。


Jun Tomono VIOLIN SCHULE



 
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